この冬は寒さ厳しく、インフルエンザが猛威をふるい…なんとも過ごしにくい日々が続いておりますが、お元気でお過ごしでしょうか。
さて、常設展示9室には埼玉県ゆかりの人々を紹介するコーナーがあります。
1月27日から、洋画家 斎藤与里(さいとう より/本名 与里治)さんを紹介しています。
明治18年(1885)に樋遣川村(現在の加須市)に生まれた与里さんは、21歳から約3年間、フランスに留学し絵画を学びました。帰国後は、その経験を活かして西欧美術を日本に紹介するとともに、数多くの油絵を描きました。昭和34年に亡くなるまで、ずっと描き続けるともに後進を育てた方です。
ちなみにゴッホについて日本の雑誌で最初に紹介したのは与里さんだったそうです。すごい!
今回は、残念ながら油絵の作品は紹介していません。油絵の画家なのですが…(^_^;)
その代わり、これまであまり紹介されてこなかった、与里さん曰くの「雑画」や日記、関係する雑誌や本などを展示しています。

終戦間際に、それまで住んでいた東京の家を引き払い、加須に戻ってから戦後の混乱期に描いたと思われる絵日記のような「雑画」は特におもしろく、興味深いものです。
空襲について描いたものにはこんな文章が添えられています。
空襲はよい見物。
田舎の人は空襲の恐ろしさを全然知らない。夜の空襲などあると 娘達や若衆は見物に集まって賑やかなこと。船上機が来るようになって 少々こわがるようになった。機上掃射を始めたからである。ここから一里はなれた三俣村で射撃さる。
田舎にも戦争に勝(かつ)って信じている者はないらしい。然し負けるとも思っていないようだ。要するに 戦争には無関心と言った方が当たっているだろう。
ちょっとドキッとしたのは私だけでしょうか。戦争中にもかかわらず、冷静に人々を見ている様子が伝わります。
クレヨンで描いた裸婦の絵は、素朴で明るい雰囲気で、見ていて楽しくなります♪
この他にも与里さんが仲間とともに活躍した様子を描いたものや挿絵入りの日記など、人柄を物語る資料を紹介しています。
この2点を含め、多くは加須市教育委員会所蔵で、与里さんの御遺族から寄贈されたものです。
小さなコーナーですが、ぜひ、ご覧ください。
4月19日(日)まで、一部資料の展示替を行います。
御好評いただいております4室、円空仏の展示は、いよいよ2月15日(日)までとなりました。こちらもどうぞお見逃しなく。
(平成27年2月3日(火) 展示担当 善哉DOJI )